「5TRAX2016」編

前書き
また今年もやってきたこの季節。先ずは公式サイトから全てダウンロードしよう。
今年は昨年より曲を多く仕入れたので例年より難航した。

「Breakcore」について
特にノイズを取り入れた曲が目立ちっており選曲したがゆえ、とにかくマスタリングに苦労した。
ブレイクス乱切りな曲は少な目だが本当に繋がっているのかは謎だ。


1. Severe Case Of Aids / Scrubber Fox
小汚いセリフとは裏腹に非常に細かくプログラムされており、ベースまでも複雑に組まれている。
キツネを名前に冠した2人による重量スプリット盤である。ハウリングを起こすほどアナログ詰め込まれた低音は実物を再生しないと分からないだろう。
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2. Chrystalline Cell Generator / BLAERG
金物と弱いスネアが多くジャズのようなイメージを醸す。静かに暴れ回る様はブレイクコアのイメージを覆すだろう。
とにかく使いづらい曲が2曲入っているアナログの反対面は、往年の人物Low Entropyによるもの。こちらも使いづらい!
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3. drawn out (Laxenanchaos beat mix) / extremeOBSN
パーカッションではなくキックがメイン、と思いきや。ブレイクスではなくノイズの成分がずるずる入ってくる。
世間離れした音を繰り出すのは日本で活躍しているextremeOBSNとLaxenanchaosの二人。ぜひライブを聴きに行こう。
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4. Squirt Record (CDR Remix) / Zr3a
うるさい!とにかくうるさい!ハーシュノイズである原曲をブレクコアに仕立て上げた曲だから無理もない。
ノイズの向こうには美しい景色が見え隠れし、普段聴いている音楽とは何なのかと考えさせられる。
!グロ注意!Bandcamp

5. Part V - L'Assassin du Temps : Itsh / Les Neiges Noires De Laponie
絞りまくったアーメン&レーザブラスト、高域を詰めに詰めた音の品評会。こちらも聴き手を選ぶ。
異常な音を出してくるLNNDLによるアルバムから取った。ブレイクコアからスピードコア、実験音楽まで幅広く収録されている。
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「Darkstep」について
ヘンテコなブレイクスを入れた特異な曲が多かったが、勿論正統派の曲も平等に取り入れた。
他に投稿されたDnB系ジャンルとの違いをぜひ確かめよう。


1. Monster / Donny
静寂を保っていたDonnyが新レーベルを立ち上げ帰ってきた。音量、展開、曲調どれをとっても素晴らしい。
恐ろしい曲調とは逆に、元ネタはコメディであるモンスターズユニバーシティ。怖がられない怪物とは只の大学生である。
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2. Demons / Counterstrike & Gein
数小節毎に打ち込みと音源が変わる変則展開。Counterstrike & Geinの名を覚えているのなら頷けるはずだ。
かつてDonnyがCounterstrike & Geinの曲をロングミックスしていた事から、同様に曲の半分を繋ぎに使った。
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3. Blackball (Original Mix) / Damage Inc
全体的にスネア成分が多いダークステップだが、この曲は逆でベース成分が強い。リミキサ陣を押しのけ個性を見せつけた。
スネア成分が少ないためロングミックスすると非常に面白い展開になるのだが、イントロのマスタリングが弱くドタる確率が高いのが難点だ。
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4. Let Me / Limewax
キックを押しのけスネアをギリギリまで詰めた一曲。ドローンサウンドとの相性は抜群だ。
Limewaxのアルバムから選んだが、全曲この調子である。まったくブレておらず一つのスタイルとして確立している事が分かる。
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5. Broadmoor Blues (The Sect Remix) / Fortitude & Robin Chaos
選曲した中で唯一正統派のDnB。うねるベースと長いスクラッチパートは使いづらいもののフロアを盛り上げるだろう。
DJとしても活躍するレーベルボス、Robin Chaosのボーカルは美しくも暗さに拍車をかける。
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「Industrial Hardcore」について
テクノ寄りな曲とガバ寄りな曲ばかり手に入った。DnB寄りの曲はクロスブリードにシフトしたと言える。
アナログの入手確率と160 bpm帯の曲数は少なかった。Digが足らなかったのかレーベルに偏りが出たのかリリースが減ったのかは分からない。


1. Reckless Dimension / Hoax23
ノイズは少ないが歪んだキックが使われた一曲。テクノのようだが、テンポから別物である事は簡単に分かるだろう。
アシッドテクノ系であるObs.curのサブレーベルらしく、他とまったく曲構成が異なる点に注目したい。
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2. Intellectual Desires / Dither
テクノでもガバでもない曲調は少々難解である。にもかかわらず、キック、リフともにアタックが強く聴きやすさは抜群だ。
PRSPCT XTRMのレーベルカラーが少し変わった事、そして今年Ditherと共演した思い出と共に。
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3. War Machine / Splinter Cell
キックの低音は非常に心地よい。ロングミックス向きではなく展開も長いが、ドラムパターンの多さは聞き手を飽きさせない。
Splinter Cellは昨年、Battle Audioからリリースしたクロスブリードが非常に目立った。今年は名門Industrial Strengthからリリースし、相変わらず目が離せない。
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4. Rehabilitated (Tymon Remix) / The Hardcore Fiend
狂った声ネタをくねらせ強力なキックに見事乗せてきた。今年の曲でピークタイムに持ってきたい曲ナンバーワンである。
この曲を持って行ったIOMANTEの出演に偶然Tymon本人が遊びに来た。当時の思い出も今年ナンバーワン。
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5. Forsaken / Somanic One
キックに短いリフが乗っているだけと思いきや、レーベルカラー通りドローンサウンドと残響が花を添えている。
Speed Of SoundやMeta 4など玄人好みのレーベルからリリースした過去を持つ。次リリースにも期待である。
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「Industrial Techno」について
よく似たテンポの曲を寄せ集めてみたところ、まとまりを示したため一つのジャンルとして固めた。
実際このジャンルとして分類していいかは、リスナの判断に任せる事とする。


1. House Of Snax / Future 9192
テクノだと思ったレコードに針を落とすと何とガバキックが入っていた。インダストリアルハードコアともドゥームコアとも共通点のある不思議な一曲だ。
アーティストもレーベルも全く情報が無い。往年の人物によるリリースと思われる。
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2. The First Invasion (Quartzlocker & Viki Remix) / Huck Farper
どちらかといえばインダストリアルハードコアであるが、テンポとリフはテクノのノリに近い。長い繋ぎでじっくり味わいたい曲だ。
オリジナル、リミックス3種どれも使い勝手が良い。好きな曲を見つけ出そう。(執筆中の12/29に3個目のリミックスがリリースされた。)
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3. Over The Limit / Somatic Responses
不気味にも拘わらずノリやすい。シンセ、ノイズ、パーカッションの響き方も大御所による技と言える。
帯域が詰まっており、かつイントロが数拍ズレているのか、ミックスの難易度は比較的高い。
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4. Reverse Cowbell / Ghost In The Machine
長いイントロ、簡単なリフ、裏に入るドローン、テクノとハードコアの良いところを取った曲。ミックスを非常にしやすく、組み合わせの楽しみも大きい。
突如現れたGenoshaのサブレーベルと謎のアーティスト。その正体は共演する機会も多い、TOAのEye-DとMindustriesのNils van Lingenだ。
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5. I Play God (Hellfire Remix) / Shine Brida
ゆるくうねるアシッド、エフェクトかけまくりなボーカル、そしてディケイの短いガバキック。ひねくれた曲だが取り回しは良い。
本来ならドゥームコアに分類すべきである。テクノ成分が含まれていると感じたため、強引に本選曲に持って行った。
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「Speedcore」について
リリース自体少ないジャンルだが、なぜかアナログのリリースが多かった。
さらにテンポ帯域も果てしなく広いものの、全曲無理矢理ピッチを合わせ繋げる事が出来た。


1. Rehabilitated (Passenger Of Shit Remix) / The Hardcore Fiend
イントロはオールドスクールなガバを保つが、残りはいつものPOS節だ。ミックスのしやすさも相変わらずピカイチ。
整った展開でスクリームの使い方にも違いがある。原曲の雰囲気を維持したリミックスである。
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2. Perfection Belongs To Gods / Neurocore
トランスの如く美しいドローン、一方ピッチの高い高速キックの展開。死に急ぐようなスピードコアの中では特に際立つ。
収録曲はスピードコアとアンビエントが半々に入っている。幅広な選曲が必要なときでもこの1枚で抑える事が出来る。
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3. Matinal Orgasme / HFK
硬いキック、深いドローンとインダストリアルハードコアをそのまま速くしたような一曲。構成はオールドスクールだが、音源へのこだわりが見え隠れする。
メロディアスな曲がどんどん増えるガバ界隈、シンプルさに磨きをかけるHFK。シーンの動向を含め見守りたい。
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4. Rehabilitated (U.V.C. Remix) / The Hardcore Fiend
確かに2016年リリースの曲、しかし音源は90年代のガバ/スピコアそのもの。一音一音を聞き取りやすいミックスダウンは聞き手に対してのメッセージとなるだろうか。
大御所U.V.C.が大御所Geoff Da Chefの曲で再起動した。見逃すべきではない。
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5. Taste Your Suizid / Komprex vs. Pressterror
もうアーティストの通り。二人のうるさい部分だけが詰まっている高速ノイズスピードコア。
1年近くTBAのまま沈黙していたシングルがとうとうリリースされた。今後再対決するか分からない2人の勝敗は各自で耳で確かめるべし。
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「UK Hardcore」について
この名前で投稿するのもこれで4年目。一向に説得力のある名前が決まらないジャンルだ。
同じ名前のUKハードコアに対抗し、とにかく徹底的に長く繋げる事とした。


1. Easycore / Hellfish
ヒップホップになるブレイクとの緩急はクラブ向きだ。定番旋律のリフが入った曲はHellfishの曲調には珍しい。
タイトルの通り声の主はかのEazy-E。ヒップホップではないが、UKガバとして2016年の世に蘇った。
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2. The Time Is Bleeding (The DJ Producer Remix) / The Speed Freak
数拍聞いただけでコレだ!となった曲。Deathchantからのリリースで使われたキックが使われたキラートラックだ。
ブレイクは皆無で終始ほとんど同じ構成が続き、どこからでも繋ぐ事が出来る。今回はそういう事だろうと思い、超ロングミックスでマッシュアップの様相を取った。
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3. Pentagram Of Coke (Deathmachine Remix) / The Hard Way
少々使いづらかった曲がDeathmachineの手により繋ぎやすい曲に仕上げられた。オリジナルの音を使いながらもDeathmachineの音も織り込まれバランスが良い。
PRSPCT XTRMらしくなくジャケット付きの黒盤でリリースされた。特別仕様という事だろうか。
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4. 10k Nukes / Bryan Fury
ブレイクス成分は少ないが、破壊的なキックとベースの4つ打ちで非常に暗い。ミックスの雰囲気を引き締める重要曲として使える。
Bryan Furyが本格的にUKガバに戻った。反対面Dolphinの2曲ともに外せない1枚である。
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5. Rehabilitated (The DJ Producer Remix) / The Hardcore Fiend
Producerが速度の変わる変則曲を出してきた、と思いきやイントロもアウトロも整ったDJユースの曲だ。ピークタイムでもエンディングでも使える仕組みとなっている。
5TRAX2016に本リミックス4曲全てをねじ込んだ。何を取っても今年最強のリリースである事は間違いない。
なお、アナログのみのリリースである。アナログを買え。
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後書き
アナログも多く手に入れられ、デジタルリリースも多く手に入ったが、現場ではほとんどアナログを使っていたためデジタル曲をほとんど紹介しきれなかった。
日本製の曲も現場の選曲に少しずつ入れていたが、今回の選曲の中にはほとんど入らなかった。
自身の活躍の場を増やすとともに、他人の選曲に耳を凝らし反省点を回収する事とする。


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